ハセベバクシンオー (はせべ・ばくしんおー)

「『相棒』シリーズ 鑑識・米沢の事件簿〜幻の女房〜」 (2008)(Library)

爆弾テロ予告事件が起こった東京ビッグシティマラソン。 鑑識官・米沢は、事件捜査のためマラソン参加者の顔認証をしていたが、その中に自分の別れた女房を発見してしまう! その女性のアパートまで出かけるが会わずに帰ってきたあと、彼女が変死体で発見されたという報せを受け……。 テレビドラマ「相棒」の人気キャラクター・米沢が活躍する、「相棒―劇場版―」から派生したオリジナルストーリー。

面白かった! よかったです。 米沢さんがあそこまでやるとは思いませんでした。 風貌からは想像できないようなカッコよさです(失礼か?)。 右京さんや薫ちゃんの影響も受けている感じでしょうか。 他にも意外と気骨のある人たちが警視庁にはいるんだな、と実感させられました。 これも土曜ワイド劇場あたりで映像化を(笑)。

 

秦建日子 (はた・たけひこ)

「推理小説」 (2006年1月)

まったく面識のない会社員・女子高生・編集者が相次いで殺された。 事件を繋ぐのは“アンフェアなのは、誰か”と書かれた本の栞だけ。 そんな中、警察と主要出版社に「推理小説・上巻」と書かれた原稿が送られてくる。 書かれていたのは事件の詳細と殺人の予告だった……。

さくさく読める内容でしたが、真犯人には共感できませんでした。 そんなことで殺人を犯すなんて。 どんな理由ならいい、ということもないでしょうけど。 真犯人がああいう行動を取るきっかけにもなった青年もどうかと思います。 夢を持つのはいいことですが、現実を見極める力もないと、生きていくのは難しいでしょう。 どうせなら、主人公・雪平夏見の過去の事件(射殺した覚醒剤常習者が未成年だった)をもっと詳しく読みたかったです。

 

「ラストプレゼント」 (2007年8月)

36歳でバツイチの明日香は、建築設計事務所で建築士として働いている。 会社の健康診断で引っかかり、再検査を受けると医師から驚くべき事実を告げられた……。 2004年夏に放映されたテレビドラマ「ラストプレゼント〜娘と生きる最後の夏〜」を小説に書き下ろした作品。

ドラマは観ていませんが、キャストを見て「明日香は○○さん、有里は××さん、歩は△△ちゃん、聡は□□さん、かあ。 なるほどねえ」と思いながら読みました。 キャストありきで書かれたのかもしれませんが、見事にハマってるなあ、と。 特に明日香が働く建築設計事務所の所長・古茂口役の俳優さんはぴったりだと思いました。 見ればよかった……。 内容としては、「そんないきなり余○宣告するなんて!」とか「あんな理由で赤ん坊を置いて母親が出て行くなんて!」とか言いたいことはいろいろありましたが、結局泣かずにはいられませんでした。 明日香の周囲にはいい人ばかり。 家族も、会社のみんなも、元夫の再婚相手も。 一番のポイントは、9歳になった娘・歩と明日香の心の繋がりですが、それを支える周囲の人たちの優しさがなければ成り立たなかったでしょう。 「今さらのこのこやってきて何を言う!」と怒る人もいると思いますが、明日香のためというより歩のためにはああしてあげることが一番いいことだと思いました。 幸い新しい母親になる有里もいい人なので、歩は明日香の思い出とともに素敵な女性に成長してくれると思います。 “その後”編があれば観たいと思います。

 

畠中恵 (はたけなか・めぐみ)

「しゃばけ」 (2007年11)(Library)

江戸有数の廻船問屋・長崎屋のひとり息子・一太郎は、体が弱く幼い頃から何度も死にかけている。 17歳になった今も、手代の仁吉と佐助が身の回りの世話をしている。 しかし、この二人は実は祖父が連れてきた妖(あやかし)なのだ。 その他にも、屏風のぞきや鳴家(やなり)が家の中におり、その正体は一太郎しか知らない。 そんな中、仁吉たちの目を盗んで夜中に出かけた際、一太郎は人殺しに遭遇。 以来、薬種屋が殺されるという事件が続き一太郎たちは事件の解決に乗り出すことに。 果たして真犯人の正体は……。 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

ずっと気にはなっていたのですがなかなか読む機会が訪れず、テレビドラマ化されるというのでその前にと思いやっと読むことができました。 個人的には、「今読んでよかったかも」と思いました。 若だんな、仁吉、佐助など、「これがあの俳優さんね」と想像しながら読むのは楽しかったです。 どのように脚色されるかは観てのお楽しみですが、配役は絶妙だと思いました。 あまり出番はなさそうですが、野寺坊なんて本当にぴったりかと(笑)。 内容としては、甘やかされて育った一太郎の成長記とも読めると思います。 殺人事件の解決方法や真相としては、妖という人ならぬものだからこそ、という部分が多々見られるので、素直に推理モノと捉えるより、やはりファンタジーとして捉えるほうが妥当かなと思いました。 もちろん、それがダメという方もいらっしゃるでしょうが、私は「一太郎、がんばれ」と思ったので、それは個人の好みと著者の力量だと思います。 実は“真犯人”も気の毒だと思わなくはありませんでした。 だって100年ですよ……。 もちろん、やり方は間違っていましたが、「なんとしても○○○になりたい」と思うのは仕方ないのではないかな、と天邪鬼な私は思ってしまいました。

 

「ぬしさまへ」 (2007年11)(Library)

仁吉に懸想文を送ったおくめ(「ぬしさまへ」)、栄吉の作った菓子を食べた隠居(「栄吉の菓子」)、松之助の奉公先・東屋の飼い猫・おたま(「空のビードロ」)、一太郎の布団を仕立てた田原屋の番頭(「四布の布団」)。 彼らが死んだり殺されたりした謎を、病弱な若だんな・一太郎が、妖たちの力を借りて解き明かす、全6編の短編集。

一太郎の推理も冴える上記の4編も読み応えはありましたが、個人的にはあとの2編「仁吉の思い人」と「虹を見し事」がよかったと思います。 特に印象に残ったのは「仁吉の思い人」で、妖だからこそできることですが、千年もの間同じ人を思っているなんて、「なんてロマンティックなの!」と感動してしまいました。 その相手が○○○というのもまた切ないし、○○○の恋のエピソードも切なかったです。 人間界では有り得ない話かもしれませんが、一太郎が生まれた理由も、一太郎の側に仁吉がいる理由も、ロマンティックですてきだな、と思いました。 身近で起こる事件は恐ろしいものですが、一太郎はこの調子で乗り切っていってくれるのでしょう。 個人的には、長編よりも短編のほうが読み応えがありました。 次作以降を読むのが楽しみです。

 

濱嘉之 (はま・よしゆき)

「警視庁情報官」 (2008年3月)

追尾、秘聴、協力者作りなど、警視総監直々の極秘捜査指令に、ノンキャリアのエリート警視・黒田純一が大活躍する。 公安警察の裏の裏を知る著者が、実体験をもとに公安捜査のすべてを詳細に書き下ろしたノンフィクションノベル。

いや〜、読みにくいったらありませんでした。 もちろん、批判などしているわけではなく、個人的に肌に合わなかったということです。 公安捜査の裏の裏を詳細に綴っているのはいいのですが、詳細過ぎて疲れてしまったというか。 ノンフィクションノベルと銘打っていますが、ノンフィクションの部分が強すぎて、小説を読んでいるという感じが全然しませんでした。 とにかく疲れました……。 

 

濱岡稔 (はまおか・みのる)

「ひまわり探偵局」 (2006年11)

押しかけ助手“さんきち”に、第一印象で“なんか丸い”と形容された探偵・陽向万象。 二人のもとにやってくるのは、優しくてちょっと切ない“謎”を持った人々。 心の鍵で扉を開けると、そこにあるのは心温まるエピソードたち。 ほんわかムードなのにしっかり本格派の連作ミステリー短編集。

エピソードひとつひとつがとても切なく、自分でも身に覚えのあるような内容や「わかるわかる」と相槌を打ってしまうような内容で、とてもよかったです。 第四話以外は、依頼人に“謎”をかけた人が亡くなっているので、厳密に言えば陽向の謎解きが正しいかどうかは確認のしようがありませんが、それで依頼人が救われたならそれでいいんだろうな、と思いました。 一番切なかったのは第三話「約束」。 小学生時代の親友との約束がなぜ守られなかったのか、本当に守られていなかったのか、10年後に真相を知ったトモジは、“新しい秘密”を胸にこれからの人生をコイチと二人で生きていくことでしょう。

 

濱野京子 (はまの・きょうこ)

「その角を曲がれば」 (2007年3月)

読書好きの杏、バドミントン部のエース・樹里、末っ子で甘えっ子キャラの美香。 クラスでは仲良し三人組だが、時々お互いの気持ちがわからなくなる。 受験、家族、恋、友情など、三者三様の思いを抱いて過ごす最後の中学生活を描く。

対象は中学生ですが、おとなが読んでも考えさせられる内容だと思います。 同じ年頃の娘さんがいればその子に読んでもらいたいと思うのでは。 受験を控えて精神的に不安定になったり、友達に対して疑心暗鬼になったり。 女の子がメインキャラなので、特にわかりやすかったです。 男性陣では、ちょこちょこ登場する、樹里の元カレ・太一がカッコイイ。 中学三年生でこんな“できた”男の子がいるのかと思うくらい、できたヤツです。 三ツ木高校郷土クラブの桜木も結構オトナ。 自分がこのトシになってしまうと、10代は子供にしか見えませんが、ちゃんと考えることは考えているものなんだな、と感じました。 中学時代の話だけではもったいないので、高校・大学・社会人と成長していく姿もぜひ見たいです。

 

 

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