劇団ひとり (げきだんひとり)

「陰日向に咲く」 (2007年4)

ホームレスになることを切望するサラリーマン(「道草」)、大好きなアイドル・ミャーコに手書きの手紙を出し続けるオタク(「拝啓、僕のアイドル様」)、遊ばれた男に仕返しをしようとするフリーター(「ピンボケな私」)、サラ金の返済のためオレオレ詐欺で老婆を騙そうとするギャンブラー(「Over run」)、3年前に出会った芸人もどきを探して上京した鳴子(「鳴き砂を歩く犬」)。 人生の落ちこぼれたちの純真を、自らもお笑い芸人として活躍する著者が初めて描く連作短編集。

いや〜、読んでよかったです。 こういう作品は数多あると思うし、お笑い芸人が書いたからといって特別視するつもりはありませんが、「感動した」というと大げさですがとにかく泣けました。 「拝啓〜」では、芸能界で生きるミャーコの辛さとオタク青年の過去の話で泣けたし、「Over run」では老婆の手紙に大泣きしたし、「鳴き砂〜」では鳴子が可哀想で号泣したし。 ひとつだけ選ぶとしたら「鳴き砂〜」。 ストリップ劇場が出てきてあまり上品とは言えませんが、とにかく鳴子が気になりました。 自分が鳴子の立場だったら、と思うと泣くしかありません。 ああ、お笑い芸人に泣かされるなんて(笑)。 最後の最後まで読んで、「こういうふうに繫がっているのか!」とわかる趣向は大好き。 単行本の帯の惹句は恩田陸さんでしたが、文庫になった暁にはぜひ解説をお願いしたいものです。

 

剣持鷹士 (けんもち・たかし)

「あきらめのよい相談者」 (2005年9月)(Library)

表題作の第一回創元推理短編賞受賞作品や書下ろしを含む、計4話の連作短編集。

まさしく私のイメージするところの“東京創元社”的な内容でした。

主人公の剣持弁護士の元にやってきた依頼者に関する謎を、友人のコーキが解くというスタイルですが、「それって守秘義務に反しないの?」と心配になることも……。 まあ、それは置いといて。 著者ご自身が弁護士さんということもあって、あまり身近でない“弁護士”や“裁判所”のことも、わかりやすく、しかも面白く“小説”に仕上げていると思います。 謎解きも納得できるものでした

 

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