群ようこ (むれ・ようこ)

「無印OL物語」 (2008年7月)(Library)

26歳、経理担当の私は、先輩OL41歳のシノハラさんの「おはようございまーす」とい声を聞くたびうんざりしてしまう。 なぜなら、彼女は仕事ができないから。 「何年この仕事やってんのよ!」と言いたくなることもしばしば。 そんなシノハラさんに最近……(「あんぱんとOL」)。 職場の人間観関係を糧にたくましく成長するOLたちの日常を描いた12の物語。

面白い! リアルタイムで読んでればよかった〜。 私自身はいわゆる“OL”の経験はありませんが、「こんな会社絶対いや!」とか「いるいる、こういういやな奴」とかいちいち頷きながら読みました。 特に印象に残ったのは「ハイヒールで全力疾走」。 家でリラックスしている姿と、外でいろいろなものと闘っている姿には当然ギャップがあるものです。 ケンちゃん、レイコ姉さんを暖かく見守ってあげてください(笑)。 東野さんの推薦文にあったように、“提起された問題は解決せず脱力して終わる”という内容も新鮮でした。 無印シリーズ制覇を目指します!

 

「無印良女」 (2008年8月)(Library)

一直線の母ハルエ、タビックスを愛用するアヤコ、女ガキ大将の著者自身。 彼女たちは一般通年からすれば“変わり者”かもしれないが、その無垢な極端さがおかしくもあり可愛くもあり。 エッセイスト群ようこ、初めての文庫本。

これはエッセイなの? 小説なの? 読み終えてもイマイチわかりませんでした……。 たぶんエッセイ、だと思っていいのかな? それにしてもハルエさんはスゴイ(笑)。 こんなダンナだったらこうなるしかない、という見本のような女性。 もちろん賛否両論あって、「もっと大事にしてあげればいいのに」とか「こんな女だからこうなってしまうんだ」とか、いろいろ意見はあると思いますが、私だったら三行半を突きつけますね。 と言うか、そもそも結婚しないのでは? 結婚前と後では性格や人格の変わる人もいるのでなんとも言えませんが。 生き物全般があまり得意ではない私は、さすがにザリガニの始末はできません(笑)。

 

「無印結婚物語」 (2008年8月)(Library)

兄妹に間違われるほど似ている夫婦(「遺伝子の不思議」)、美人の受付嬢と結婚したら、その実態は……(「維持費が大変」)、何かと実家に帰りたがる夫(「親子の異常な愛情」)、etc。 お見合い結婚、恋愛結婚、それぞれに夢と欲を膨らませた結婚生活のはずだが……。 全12話のドラマチック・ストーリー。

いいのか悪いのか、これを読んだら「結婚なんてしたくない!」と思ってしまうのではないかと不安になりました。 既婚者にとっては「あるある」とか「そうそう」とかで済ませられる問題でも(済まない場合もあるかも?)、未婚の女性(男性も、か)にとっては結婚が恐怖の対象になりそうです(笑)。 「こんなもんか」と思えればいいですが、「こんなはずじゃなかった」と思ったらおしまいですよねえ。 そこから何とか自分の力で変えられる部分を変えていければいいけど、どうにもならないことは必ずあるし。 やはり一番の問題は○○問題(おおっぴらには書けない……)でしょうか。 同居と別居、どのくらいの距離に住んでいるかでまったく事情は異なると思いますが、「何の問題もありませ〜ん」ということはなかなかないのではないでしょうか。 どの作品を読んでも「こんなダンナじゃいや」とか「こんな妻でどうすんの?」とか「こんな夫婦って、夫婦の意味あるのかな」とか思ってしまいました。 にもかかわらず、暗〜い感じにはならないのが“群”流なのでしょうか。 現実にいたらやっぱりいやですけどね(笑)。

 

「無印失恋物語」 (2008年8月)(Library)

男子校で国語教師をしている私は“巨乳”と呼ばれているが男っぽい性格と話し方のせいか全然もてない(第二話「気合」)。 大学に入った時に知り合った彼女はあまりにも“メルヘン”だったが……(第三話「無言」)。 門限にはきちんと家に送ってくれ、両親にも挨拶をしてくれる彼だが、なかなか自分の家には連れて行ってくれず、業を煮やした私はお母さんに会わせてくれるよう頼んだが……(第六話「相性」)。 全12話のハートブレイク・ストーリー。

今作に登場するカップルは、まだ結婚していないだけマシ、という感じでしょうか。 どいつもこいつもなんというか……。 メルヘンちゃんも怖いし、マザコン男もいや。 失恋、というか、「別れた方が絶対いい!」という関係はありますよねえ。 気の毒なのは二股かけられた挙げ句捨てられる、というパターンでしょうか。 第一話「自信」のカズちゃんや第十二話「逆襲」のリエはそのパターンですが、ふたりはあまりにもタイプが違い過ぎます。 カズちゃんは人が良くて鈍感でしたが、リエは「そうなっても仕方ないかなあ」というほど傍若無人に振る舞っていました。 それでも救いがあるのは、二人ともめげたり落ち込んだりせず、次のステップに向かって成長しているところでしょうか。 まあ、リエの場合は成長と言えるかどうか疑問ですが(笑)。 これも“群”流、ですね。

 

「無印不倫物語」 (2008年8月)(Library)

バイト先のカッコイイ男性社員には奥さんがいるけど、写真を見たら「こんな人より私のほうが彼に相応しいわ!」と思うような女性で、離婚しないのは承知の上で関係を続けているナカヤマミエコ(「愛はけげろう」)、「結婚前なんだから浮気は許して! 結婚したら絶対不倫はしないから」というタナカと付き合っているデパガの私(「女のみち」)。 女も男もいろいろいるけど、“恋にトラブルはつきもの”と言ってしまえばそれまでの不倫の物語。

う〜ん、テーマがテーマだけに「そうそう」とか「あるある」とか、素直に頷けない感じでした……。 わかる部分もあるけど、「なんじゃそりゃ〜」と思うほうが多かったかも。 自分が女性・既婚者という立場から考えると、妻の立場に感情移入してしまうので、仕方ないですね。 個人的には「フラフラしている男が悪い!」と言いたいですが、そうさせる女性(誘惑する若い女性だったり、安心し切った妻だったり)も同罪と言えばそうなので、誰かひとりが悪いということはないのかも。 諸手を挙げて賛成する行為ではありませんが……。

 

「無印おまじない物語」 (2008年8月)(Library)

子供には不釣合いな水晶の玉(第一話「義理の妹」)、母と叔母に連れて行かれた神社で売っているお守りや絵馬などの良縁グッズ(第二話「愛の神社」)、街で声をかけてきた占い師と思しきおばさんが伝授するヘンな体操(第六話「明るい未来」)。 しょうもないガラクタに望みを託し、陳腐な思い込みをふりかざし、人よりも多くの幸せを摑もうとする女たちの、おかしくて少し哀しい物語。

何かに縋る気持ちはわかる気がします。 修学旅行で行った春日大社では恋愛成就のお守りを買ったし(効かなかったけど)、高校や大学受験のときにはそれなりのお守りを買ったし。 でも、さすがに水晶や壺には手は出していないかなあ。 そこまでして欲しいモノや叶えたいコトがないってことでしょうか。 独身で片想いをしていたとしても、ヘンな体操をしてまで相手を振り向かせたいと思うとは思えない……。 というか、「それで振り向いた相手ってどうなの?」という感じ(笑)。 もちろん、それだけが効果がったということではなく、他にも努力をした結果成就する思いならいいけど、それだけに頼り切ってはいけない、という教訓を得ました。 いえ、今から何か叶えたいことなんてありませんけど。 ダイエット以外は(笑)。

 

「無印親子物語」 (2008年9)(Library)

どの色の水着を着ても、イルカやトドや樽やナスや墓石にしか見えない母(「鉄は熱いうちにうて」)、次男だから結婚したのに、姑と同居することになり「騙された」と騒ぐ母(「目の上のタンコブ」)、美人でもてるのに、選ぶ男はしょうもない奴ばかりの母(「女やもめに花が咲く」)など、切っても切れない親子の縁を運命として諦めるか、反発するか。 親子愛の名の下で繰り広げられるなんでもありの家族ストーリー。

笑えます(笑)。 でも、他人事だから笑えるのであって、同じことが自分の身に降りかかったらとても耐えられないようなことばかり。 「よくこれだけのパターンを思いつくなあ」と感心してしまいました。 東野さんが、「“脱力して終わる”“問題は何も解決しない”。 それが群さんの魅力」ということをおっしゃっていましたが、まさにその通り! 「ここで終わりかい!」と何度つっこんだことか。 というか、全ツッコミです。 一番気になるのは「そうは問屋が卸さぬ」T・Uの若いふたりの恋の行方。 たぶんダメでしょうけど(笑)。 どちらの母親も子供が可愛くてやったり言ったりしていることなので、子供たちも反論しにくいというか。 てっちゃんががんばらないとここでおしまいですね。 それにしても、世の中にはスゴイ親(特に母親)がいるなあ、と実感してしまいました。 あ、ノンフィクションじゃなかった(笑)。 でも絶対こういう会話が交わされているんだろうな、としみじみ思いました。

 

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