沼田まほかる (ぬまた・まほかる)

「彼女がその名を知らない鳥たち」 (2006年11)

十和子は、昔の恋人・黒崎のことがずっと忘れられないでいた。 しかし、淋しさから、飲み屋で知り合った中年男・佐野陣治と関係を持ち一緒に暮らすようになった。 ある日、自室のクローゼットに大切にしまっておいたはずの、かつて黒崎からもらったダイヤのピアスを陣治の部屋で発見した十和子は……。 人生を諦めた男と壊れかけた女が繰り広げる、純愛サスペンス。

最後の2ページがすごい! 思わず「ええっ!?」と叫んでしまいました。 このエンディングでなければ、ここまで印象には残らなかったかもしれません。 黒崎が今どうなっているのか、それをやったのは誰か、水島が何をしようとしているか、などは全く想像通りでしたが、“ああいう”ふうに終わるとは思ってもみませんでした。 「これしかない!」とも言えるエンディングですが、「じゃあ、その後、○○○はどうすればいいの!?」とも言えます。 十和子の姉・美鈴の眼は正しかったということですね。 あそこまで惚れられたら、女冥利に尽きるかも。 「9月が永遠に続けば」より、こちらのほうがずっと好きです。

 

「猫鳴り」 (2007年12)

結婚17年目にしてやっと授かった子供を死産で喪った夫婦、思春期の闇にとらわれた父子家庭の少年、愛猫の最期を見守る老人。 それぞれのままならぬ人生に係わったのは、ある一匹の猫だった。

一番印象に残ったのは第三部で、藤治がモンとふたりきりになってからの生活がなんだか哀しかったです。 猫でも犬でも、ペットを飼っていればほとんどの場合、人間がその○○を見届けることになりますが、ああいう終わり方は切ないです。 私にも似たような経験があって、そのことを思い出して泣けてしまいました。 モンは○○とふたり、藤治を待っていると思います。 「まだ先でいいよ」と言いながら。 第二部で、ペンギンという名前の猫を飼うことになった行雄ですが、ほとんど会話のない父親と、“ああいう”形であれ触れ合うことができてよかったと思います。 父親は“ああ”言っていましたが、○○と少しずつ折り合いをつけて生きていって欲しいと思いました。

 

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