ら行

龍一京 (りゅう・いっきょう)

「狂った正義」 (2006年7月)(Library)

留置場に勤務する、定年間際の警官・富樫は、16年前に娘を強姦された上殺され、その1年後には妻も自動車事故で失っている。 時効を迎えた今でも、ひとり真犯人探しを続ける富樫だが……。 被害者を守るべき法律も、結局は加害者を守り、被害者は泣き寝入りするしかない。 被害者の悔しさ、恨みはいったい誰が晴らしてくれるのか。 法律に正義がないのなら、自分が裁くしかない―。 正義とは何かを問う、渾身の書き下ろし小説。

富樫自身もわかっているように、彼のやっていることは結局犯罪者と同じことなんです。 “目には目を”と言っても、それは“同じ穴の狢”とも言い換えられるわけで……。 確かに、罪を犯していながら償いもせず、のうのうと生きている犯罪者には腹が立ちます。 法律が裁かないなら自分が裁いてやる、という気持ちもわかります。 でも、日本の現代社会では、残念ながらそれは結局犯罪なんです。 それでも、富樫はそうするしかなかった。 自分の家族を殺されて平気でいる人間なんていません。 犯人が死刑になったからといって、「ああよかった」とは思えないこともわかります。 でも、生きていてまた同じ犯罪をくり返すくらいなら死んで欲しいと思うのも事実ではないでしょうか。

 

連城三紀彦 (れんじょう・みきひこ)

「嘘は罪」 (2006年9月)(Library)

中年の主婦・菊子は、高校時代からの友人・波江に、「着物をもらって欲しい。そして、それを着て夫の愛人にあって欲しい」と頼まれる。 対決すべきその女から聞かされた話の真相は……(表題作「嘘は罪」)。 “浮気”をキーワードに、様々に揺れ動く夫婦や不倫男女の有様を描く短編12編。

解説を立ち読みして、ミステリーでないのはわかっていましたが、タイトルに魅かれて購入しました。 タイトルの付け方がすごい! 発表順じゃないのに、収録作のタイトルがしりとりになっているんです。 「夏の最後の薔薇」「薔薇色の嘘」「嘘は罪」「罪な夫婦」「夫婦未満」「満天の星」「星くず」「くずれた鍵」「鍵孔の光」「仮橋」「走り雨」「雨だれを弾く夏」。 これだけでも(と言ったら失礼ですが)“買い”ですね。 一番印象に残ったのは「仮橋」。 “医師と患者として”というのが、ああいう意味だったなんて、思いも寄りませんでした。 手紙の文面という終わり方も、余韻を残していて良かったです。 「嘘は罪」も、面白かったです。 最後のどんでん返しがミステリーのようで、「うわ〜、そう来たか!」という感じ。 でもやっぱりミステリーを読みたいです……。

 

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