2007/9/29(土) ミステリー小説講座 〜読売 江戸川乱歩フォーラム2007

 

とむこさんと待ち合わせした1245分頃、池袋駅西口に着いた時には朝から降っていた雨も上がっていました。

周辺地図と、「こっちへ行く人が多いよね」という頼りない私の道案内のもと、いざ立教大学へ。 実際はわかりやすかったです。

ところが、授業や他のイベントがあるらしく、構内は学生さんやらスーツ姿の人やらがたくさんいてこちらもおろおろ。

タッカーホールの場所がわからず、自力で探すつもりでしたが時間がもったいないので結局は学生さんに聞いてしまいました。

入り口は別方向でしたが、聞いた場所はホールのすぐ近くでちょっと恥ずかしかったです……。 それにしても不案内じゃない?

1330分開場予定でしたが、入り口にはすでに長蛇の列が。 慌てて最後尾に付きましたが、どんどん人が増えてきました。

並んでいる人数が増えてしまったためか、予定時間より少し早めに開場となりました。 全席自由なので、皆さん結構必死です。

私たちも会場内で「少しでもいい席を」と探しましたが、10何列目かの真ん中辺りの席を確保。 ラッキーでした。

開始時間まで少しあるのでトイレへ行こうと席を立つと、ホールではすでに三先生方の著書を販売中でした。

「何があるかな」とざっと見ましたが、東野作品はすべて所有済みだったし、サイン本ではなかったので購入は見送りました。

夏樹作品は未読のものが並んでいたので心が動きましたが、電車で持って帰ることを考えるとやはり諦めざるを得ませんでした。

北方作品も興味を惹かれましたが、同じ理由でやはり断念。 サイン本なら購入したのに……(言い訳)。

 

開始時間14時頃、司会の女性が壇上隅のマイクの前に立ち、三先生方の略歴を紹介した後、ご本人たちがご登場。 拍手〜。

北方さんは黒のスーツ、夏樹さんは白のスカートスーツにピンクのインナー、東野さんは紺のスーツを着ていらっしゃいました。

まずは北方さんの基調講演「私がミステリーを語るミステリー」開演。 スタンドマイクを外して左手に持ち、話が始まりました。

タイトルの意味がよくわからなかったのですが、「ミステリー作家じゃない自分がそれを語るのが“謎”だ」ということだそうです。

なので、「ミステリーとはなんぞや」云々ということではなく、日本推理作家協会についてのお話がほとんどでした。

10年前、50周年のときに理事長をやらされていて、記念事業として文士劇をやったがとても大変だったとおっしゃっていました。

曰く、稽古場は光文社が提供してくれたが、参加者である42人の作家が一堂に会するのは時間的にも物理的にも難しい。

曰く、チケットを捌くためには宣伝が必要、そのために雑誌連載の原稿を人質(?)に取り、出版者に宣伝させた。

曰く、協賛金集めのためO・A先生と黒塗りのベンツを出版社へ乗りつけたところ、警備員が飛んできて「何か御用ですか!?」(笑)

曰く、「ホームズ、ホームズ」と連呼しながら舞台を横切るだけの出番しかないのに真面目なA・J先生は律儀に練習に参加した。

曰く、大の字にひっくり返るシーンがある女流作家S・S先生は「ちゃんと見せパンを穿いてきた」とおっしゃっていた。

などなど、面白い逸話がたくさん飛び出しました。 以前BSで放送されたそうですが、ぜひDVDで販売して欲しいものです。

1111日(日)に開催される、60周年記念イベント・ミステリーカレッジのお話(というか宣伝)もされていました。

特に「サイン会はあるけど、それ以外の場所でサインを求めるのは禁止」と何度もおっしゃっていました。

確かに、作家さんが構内を歩いていたりして、その場その場でサインをしていたらきりがないし通行の邪魔になるし。

この段階でまだチケットはあるようでした。 入場料2,000円。 大勢の作家さんを見られる機会としてはお安いお値段では?

面白可笑しい話ばかりではなく、次にはアフリカへ行ったときに体験した話を真面目な口調で語っていらっしゃいました。

曰く、小説なんてなんの役にも立たない。 この子達に必要なのは食料だ。 だが施しを与えるわけにはいかなかった。

曰く、なぜなら今は食糧を与えてもその後また飢えが始まるから。 すべてを引き受けられないなら施しは与えてはならない。

曰く、なので、せめて自分たちも食べるのを止めた。 ただし水分だけは死なないために摂った。

曰く、ホテルで、字が読めない少女が読み聞かせてもらっている本の内容を涙を流しながら聞いているのを見た。

曰く、そのとき「ああ、自分は小説を書いていてもいいんだ」と思った。

などなど、“小説家とは”という根源に触れるようなお話もされていました。

 

10分の休憩を挟んで、いよいよ第二部・トークショーへ。 北方謙三×夏樹静子×東野圭吾。 素晴らしい組み合わせです。

北方さん曰く、「俺は進行役なので主に質問する方。 話が面白ければ引き出した俺の力。 つまらなければ二人のせい」(笑)。

デビューのきっかけや売れるまでどれくらい時間がかかったか、その他事前に募った質問に答えていらっしゃいました。

夏樹さん、東野さんは乱歩賞絡みでデビューしており、夏樹さんは実際に江戸川乱歩先生にお会いしたことがあるそうです。

その他、海外の作家さんたちとも交流があり、「エラリー・クイーン先生には可愛がって戴いた」とおっしゃっていました。 すごい!

N賞に関する話題になったとき、北方さんが東野さんに「何度も候補になってるのになかなか取れなかったねえ」と一言。

すると東野さんは「あなたのがんばりが足りないから(取れなかったん)ですよ」とやり返す一幕も(笑)。 仲がよろしいようで。

北方さんから夏樹さん、東野さんへ『トリックが古くなるということはないんですか?』という質問がありました。

「トリックが、というより内容が古くなるのは時代の流れで仕方がないですね」というお答えでした。

東野さんは、某大先生の某作品を読んで「なぜ電車で移動するんだ。 飛行機の方が早いのに」と思ってしまったそうです。

「なぜ公衆電話を探して町中を走り回っているんだ。 携帯電話を使えばいいのに」と思う作品もあるとおっしゃっていました。

さらに、「執筆は手書きですか、パソコンですか」という質問は三者三様のお答えでした。

東野さん「パソコンです」

夏樹さん「手書きで、事務所の人間に清書(パソコンで、とおっしゃっていたような気がします)してもらって出版社に渡す」

北方さん「手書きで、そのまま渡す。 だから読めない場合もある」 さすがベテラン(笑)。

『締め切りに対するプレッシャーはどう克服するか』という質問には「締め切り間近になるとなぜか書ける」というお答え。

「締切が近づかないと逆に書けない」という半ばジョーク、半ば本気のお答えも出ていました。 間近ってどれくらいなのでしょう。

『映画やドラマが原作と異なる点についてどう思うか』という質問には「別物だと思っていただきたい」というお答え。

夏樹さん「以前はシナリオをチェックしていたが、直すようお願いしても結局直してもらえないので諦めた」

東野さん「悪いものを作ろうと思ってやっている人はいないはず。 ただ、それが成功するかどうかはわからないが」

『東野さんはなぜ闇の世界を描くのか』という質問には「やはり人間は人の不幸が面白いと感じるから」というお答え。

もちろん、「現実にそうなればいい」と思っているわけではなく、あくまで小説の中ではそういう部分もあるということです。

『子供に薦める本は』という質問にはお三方とも「作家はあまり本を読まないからねえ(苦笑)」というお答えでした。

東野さん「ここにいらっしゃる夏樹静子先生の『蒸発』『喪失』『目撃』を挙げますね」

夏樹さん「小説を書くための資料は読むけど、それくらいかもしれない。 お勧めは東野先生の作品を(笑)」

北方さん「賞の選考委員をやっていると対象作品を読むだけで一年が終わってしまうこともある」

選考委員の話から、今度東野さんが乱歩賞の選考委員になるというお話へ。 自分が受賞した賞を与える方になるんですね。

現在は賞金1,000万円だそうですが、以前はなかったらしく北方さんが「いつから出るようになったんだ?」と疑問を。

すると東野さんが「真保裕一(先生)がもらえなかったと怒っているのでその後からじゃないですか」と答え、笑いが起きました。

その他、たくさん面白い話や素敵な話を語っていただきました。 詳細は10月末(たぶん28日)の読売新聞朝刊でご覧ください。

トークショー開始からあっという間に1時間半が過ぎ、とうとう終了の時間が。 楽しい時間をありがとうございました。

 

その後、旧江戸川乱歩邸公開があるというので「ぜっかくだから」と行ってみましたが、やはり長蛇の列が……。

その時点で時刻は17時近く。 迷いましたが、電車で帰ることを考え今回は断念しました。 とむこさんは観られたようです。

 

そうそうこのような機会があるわけではありませんが、タイミングが合えばまた何かのイベントに参加したいと思いました。

直近ではミステリーカレッジがありますが、出勤日に当たっているので残念ながら断念せざるを得ません。 タイミング悪……。

作家さんにとってはもちろん本業が一番大事だと思いますが、こういうイベントもごくたまにはお願いしたいですね。

 

注:メモを取っていたわけではないので、記載事項に誤りがあるかもしれません。 文責はすべて私にあります。

 

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